いわき勿来 林道探査 ~フラットダートとか言ったの誰だ~

 寒くなりきる前に、もう一度キャンプツーリングに行けるのではないか。先週くらいにふとそう思い立ってから、仕事中も脳の5%くらいは「この時期ならどこに行けばいいのか」を考えていた。


いわき勿来 弥太郎林道の社

キャンプツーリングでは群馬や長野など関東北西部の山の方に行くことが多かったが、さすがにそちら方面は寒そうだ。やはり海際の方がいいのではと思うが、海岸線だけ走ってもつまらない。

ツーリングマップルを眺めていると、そう言えばいわき周辺には結構、ダートがあると書いてあるよなと。少し調べたところでは、だいたいどの林道もフラットなようでもある。

最近、貴重なバイク仲間のP君が婚活に勤しんでいて付き合いが悪いので、ソロでダートに行くからには、人の多そうなフラットダートしか行けないが、まあ大丈夫そうだなと判断し、いわき勿来を目的地に定めて、いざ出発!


天気は良い

”速旅”プランを使って常磐道でいっきにいわき勿来に行く作戦。途中、東海PAで休憩しつつ、目当てのキャンプ場に電話して予約を入れる。自分はどうも気分屋なようで、天気や体調で急にキャンプがしたくなったりしたくなくなったりするので、予約はたいがい当日に道すがら派だ。予約できなきゃ日帰りするか・・・というつもりだが、あまり立派なオートキャンプ場とかでないところを使うからか、たいがい当日で入れる。

ということで、この日もOKということだったので、まずはキャンプ場を目指す。

いわき勿来ICで高速を降りて11時少し前。秋のドライブシーズンではあるから、昼になれば食事処も混んでくるだろうしということで、まずは腹ごしらえをすることに。


いわき勿来 丸三屋の定食

ホウボウのから揚げとシマアジの刺身。唐揚げは日により違うらしいが、このホウボウもふわふわの白身をさくっと揚げてあり美味しかった。シマアジの刺身も見た目より量があり、ちょっとコメが足りなくなってしまったくらいだ。

天丼やらうな丼やらも美味そうだったので、またこのあたりに来たら寄りたいと思わせる良い飯屋であった。


川には白鳥が。

キャンプ場に向かって走る道すがら、町を流れる川に白鳥が。こういうのを見るとやっぱりちょっと北に来たなと。先日の東北ツーリングに引き続き、みちのくの玄関口までは来てるわけなので。

・・・もっとも、白鳥はさいたまの自宅近所にも数羽は来るけど。


田園地帯

田んぼの中の道をてれーっと走るのは気持ちが良い。それ自体は運転的に楽しいところはないが、この景色がちょいちょい挟まることで、ああ、ツーリングに来てるという気分になる。自分がなんだかんだ言って都会人だなと思う瞬間だ。神奈川・東京・埼玉を生活拠点としてきて、ビルが林立する都心に暮らしたことはないけど、かと言ってこういう人口密度の少ないところで暮らしたこともないので、それだけで非日常を感じてしまうということだ。

少し山に入ったあたりで四時ダムというところがあり、立ち寄る。ダムカードはあるという情報もあったが事務所にも人の気配がないのでまあいいかと。ちょっとくらい玄関にでも置いておいてくれたらいいのに。


ダム筐体の上から海が見える、というのをウリにしている


そしてほどなく、目的のキャンプ場へ。


田人 ふれあいの里キャンプ場

田人、あるいは旅人というのがこのあたりの地名らしい。「おふくろの宿」とセットで、国民宿舎や休暇村ではないが、いわき市の半分?公共施設的なところなのだろうか。


なんだか地味なサイト

サイトは広くなく、その中で平らな場所はさらに限られており、林間で日当たりは悪く、国道が近いので車の風切り音もする。つまり、さして良いキャンプ場とは言えないかも知れない。

けど、330円という料金で、堂々とキャンプできる場所があるというので十分なのだ。炊事場は結構きれいだった。トイレも綺麗に掃除されていたが、おそらくモダン・ボットン便所で、流し方のギミックが難しい(普通のレバーで水溜をしてから、もうひとつのちょっと見えにくい場所にあるレバーで排水という2段操作式)ため、利用者が多いと流せずにブツを積んだままにされることがあるかも知れない。

設営を済ませたので、いざ。林道探査へ。

まずは、「目兼横川林道」というところに向かう。


だいぶフラット


多少狭くなるがやはりフラット


フラットだが少しガレているところも、といったような情報をWebで見かけていたが・・・。入口がよくわからないままウロウロしていたら、なんか間違った道に入った?と思ったが、








こんな標柱や標識もあったし、最終的に抜けた位置も正しかったので、俺はどうやらちゃんとしたルートを走ったらしい。ただ、情報より多くの場所が舗装されていて、またダート部分もダートというよりは砂利道と呼ぶにふさわしい平坦さだった。

ちょっと肩透かしである。

目兼横川林道の西端と思しき場所まで戻り、今度は弥太郎林道へ。

こちらも舗装が進んでいる様子で、Webの情報でここからダートという写真にあるのと同じ場所かなと思うところでも普通に舗装路。で、しばらくしてダートになっても結構フラット。

でいくらか進み、藤ノ木沢林道との分岐の広場。


弥太郎林道と藤ノ木沢林道の分岐


古びた鳥居があるが、御幣は新しく人の手は入っているようだ。鳥居の先は小高くなっており、その先には小さく古い社が見えた。鳥居の手前には一本銀杏。時期にしては暖かいせいか秋らしい景色をほとんど見ていなかったが、この銀杏は色づいていて、暗い山間で梢の黄葉が傾いた日差しを受けて光る様は絵になっていた。



藤ノ木沢林道は通行止めとのこと。


なので、そのまま弥太郎林道を西へ進む。なんだか道幅が狭くなり心細くなってくるが、路面自体は細かい砂利でしまっており、すこぶる走りやすい。洗い掘りもない。

終点


とは言え。しばらく進んだらおもむろに広くなった場所に出て、そこに「終点」の標柱が。

・・・え?この道は県道に抜けると思ってきたのだが・・・。Uターンしろってか?

よく見ると、やたら細い道が


いったん停車してうろうろと周りを見渡したり、Googleマップと地図を見て場所を確認したり。よく見れば、広場の奥から、これまでよりひと際細い道が下り坂となりつながっている。

・・・けどこれ、進んでまた行き止まりだったらGSでUターンできないぞ・・・。夕暮れで気が焦る中、ひとまず歩いてその道を進む。100mくらい進むとふたたび道幅は広がっていて、その位置から地図上では目の前に県道があるはずだった。見えないけど。

とりあえずそこから先はUターンも出来そうだったので、バイクまで戻って恐る恐る発進。

熊の倉林道?

えらく短い別の林道として、県道に接続していたようだった。無事に県道に出てほっとしたので一服する。ここからキャンプ場の方に戻るわけだが、微妙に物足りないと言えばそうなんだよなと・・・。

R289でいわき勿来方面に戻るのだが、途中で四時川林道へ。


7.4kmのダートとツーリングマップルに書いてあるが、渓谷沿いとも書いてあり、実際、ずっと川沿いだ。川沿いということは、極端に高度差がないということだろう。ならまあ、少し時間が遅いが大丈夫か・・・と。

片側が谷というか川で、終始道幅が狭かったが、路面は安定していた。釣り客や、一部あった設備の整備などのためだろうか?クルマの往来も一定あるようで、整備されているのだろう。




よく読めないけど、どうやら終点(あるいは起点)まで抜けてきて舗装路に。


R289に抜けたのだが、キャンプ場を一度スルーしていわき勿来の町のスーパーに食材の買い出しへ向かう。途中、日暮れ時のダムが景色良かったりしなかな?と再度、四時ダムに寄ってみたが、別にただ薄暗いダムであった。

とは言え、よく見たら「銘水 四時ダム」という微妙な銘の水汲み場があったので、せっかくだからプラティパスに水を詰めていく。

「銘水 四時ダム」


買い物をして戻ってきたら「おふくろの宿」で風呂を浴びて、キャンプ場へ。

夜になってもやはり誰も客が来ない。完全なるソロキャンプである。さすがに冷え込んできているし、なんとも寂しいが・・・。

キャンプdeしゃぶしゃぶ

スーパーで、カット野菜と最近よくある小分けのしゃぶしゃぶつゆ、それに豚肉を買ってきた。簡単に作れるし、暖かいし、これは実に良い。弱火でくつくつと煮ながらしゃぶしゃぶとしては酒を飲み。敢えて保冷せずぬるめにしておいたビールも美味いが、地酒「又兵衛」を煽りつつというのがまた美味い。

どうせ他の客もいないので、持参したKindle Fire(割れても惜しくない格安Amazon製タブレット)でアニメ鑑賞なんかもしつつ、楽しい夕食を堪能した。


なぜか108円で売っていた

翌朝は、やはり寒いので、なぜかスーパーで格安だった特上チリトマトヌードルを食す。今日は撤収して、矢祭に抜けて変える予定。だが、その途中でもう1本、フラットダートがあるのだ。

板庭入宝坂林道。
これも検索したところだとフラットで眺望も良いらしい。

昨日走った林道は眺望もなかったし、せっかくなので、もう1本これを走っていこう。


奥久慈塙蒸留所。このちょっと手前を右。

ネット上で出てくる情報とどうも様子が違っていて迷ったが、ここを右に行くと砂利道だがすぐ行き止まりになってしまう。

もう少し手前に分岐があり、それを右に行くのが正解だった。とはいえ、そこからダートという話のはずだったが全然そうではなく、舗装路が普通に続いている。

しばらく舗装路をクネクネと走っていくと、左手に分岐があり、やがてダートに。フラットだ。


細かい砂利が緻密で不安のない道



天気は下り坂だが眺望も良い(ここまでは)



あれ?

途中でふと気づいたら足元がぬちゃっていて、走行していた左の轍は山に消え行っている。だが、泥の轍が深く、右にレーンチェンジも出来ない。止まってしまって発進もままならなくなったが、左の路肩が下っているので足がつかず、降りることも出来ない。冷や汗が流れたが、なんとか右足を付きながら、ジリジリと車体を登らせ、草や枝に構わず「元・左の轍」らしきところを突き進んで、いったん道幅が広がったところまで抜けた。

とりあえず駆動力を確保するためにタイヤのエアを2割ほど抜く。危なかった・・・と進みそうになるが、いや、俺はだいたいこういう状況でうっかり進んで引き返せなくなるのだからと、歩いて様子を窺いに。

結果、写真の通りで、そのあとも泥の轍が1本残ってるだけで、片方は植物に飲まれているような状況。これでスタックでもすれば、GSをどうこうすることは俺には不可能・・・。

ダメだ。撤収だ。

撤収するといってもUターンできるほど広い場所でもないので、一度パニアケースを降ろして、スタンドをかけたまま車体を回転させる。なんとか戻る方向は向けたが、今度はさっきの泥ゾーンか・・・。

改めて様子を見るに、自分がさっきハマった側でない轍は少し状況がマシに見えたので、そちらをそろそろと下る。

前後輪がヌルヌルとスライドして蛇行するが、轍から外れることも出来ないしバランスを崩して転倒すればここでバイクを起こすことも出来ないだろうから、ともかく慎重に、しかし緊張し過ぎて体が硬くならないように。以前にGSのイベントでヌルヌルの泥の林間コースを走った時の感覚を思い出しながらトコトコと下る。数10mかそこらだったはずだが、無事に難所を越えた時には偉業を達成したような気分であった。良かった・・・。

その先に、国道の方向に分岐している「上石井線」という林道があったので、まあ・・・明らかに町の方に向いてるから荒れてることもないだろうと。一部洗い掘りになっていたが、それ以外は締まった砂利で、少し行くと舗装路に出た。

すぐに民家があり、もう少し進むとR118に行き当たった。これで一安心・・・あとはもう帰るばかりだ。


矢祭山(のお土産センター)
途中、矢祭山に寄って、

また川魚食ってる

鮎を食った。子供のころ、父親が鮎の友釣りが趣味で、矢祭山という秘境に遠征するといった話を聞いたことがあった。その頃よりはだいぶ拓けているのだろうけど、やはり鮎が有名なんだなと。もっとも、この時期に鮎は釣れないだろうし、天然鮎は高いからこれは養殖であろうけど。でも、久々に食べた鮎は美味かった。いつも言うけど川魚はやはり炭火串焼きが一番だ。

逆さまにして串にさして焼く、それが雰囲気でなくて味を決めているのだということだけ、力説しておこう。

あとはそのまま国道を走って常磐道に入ろうと思っていたが、途中でやはり、日本三大名爆と言われる袋田の滝が気になった。

わりと滝に近い有料駐車場(300円)にバイクを止めて数分歩く。



そこら中にある提灯街灯

ここに貼ろうと思って写真を撮っていたら、珍しいものだと思ったのかやたら外国人観光客が同じ提灯を撮影し始めたのはちょっと気まずかった。

観光ホテルや旅館が面する道路沿いを歩くと、そば屋や奥久慈地鶏の親子丼の食事処が立ち並び、昼過ぎなのでちょっと良い匂いがしている。やがて、橋を渡ると昭和的なつかしさの漂う土産物屋が軒を連ねる川沿いの遊歩道となり、少し行くと、袋田の滝への入り口があった。

300円の観覧料を払い、滝への通路であるトンネルへ。


やけにケバい

そっけない半円状のトンネルなのだが、ライティングを工夫しており、「大子来人〜ダイゴライト〜」というテーマ?ならしい。すごく素直に感想を述べてしまうと、「きっとキャバレーとかピンサロってこんな感じなんだろうな」と思ってしまったが、行ったことがないからこの感想が適切かどうかはわからない(どのみち不適切なんだろうとも思うが)。



袋田の滝


袋田の滝と、そこそこ紅葉

なかなか見ごたえのある滝だった。秋の夜にはダイゴライトは滝自体もライトアップするらしい。この滝をライトアップするとさぞ美しいのだろうという気はするし、公式サイトにもきれいな写真がある。ちょっと気になるが、寒くなるので夜までいる気にはなれない・・・。まあ、いつか機会があれば。


滝から降りて来て、土産屋の軒先で地鶏のぼんじり串を買ってみた。

ぼんじり

ぼんじりだけで地鶏を感じるのは難しいなと思ったが、美味いことには違いなかった。

ダートはやたらフラットだったり、フラットと思ったらケモノ道状態?だったりと、ちょうどよい感じのに行き当たらない感じだったが、これまで走ったことのないエリアを探索できたし、美味い物もいろいろ食べられたので、なかなか満足だった。


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