林道 横尾山線(山梨)

(これまでのあらすじ)
少女の呼び声に誘われクリスタル・ラインを突破しなければならないという妄想に取り憑かれたPくんに付き合って清里に彷徨い出てきた我々。「ビッグオフをわざわざ買ったのにダートを走れない」という因縁を断ち切るべく、清里を目前にクリスタルラインからさらに山々の深奥へと続く道へと踏み出すのであった。


横尾山線はフラット♭


林道横尾山線。ここが今日のいわば目的地だ。

クリスタラインはP君がしばらく前から熱心に走りたがっていた(彼はもう5回くらい走破していると思うのだが、ずいぶんとこの道が気に入ったらしい。)し、俺も好きな道ではあるが、ダート走ってみたいんだよなあ・・・・と思ってツーリングマップルを眺めていたら発見したのがこの道。

曰く「フラットダート」とのこと。乗りこなせず持て余しまくりのGSで乗り込むには程よいんじゃないの?

ちょうど14時頃に、起点(清里側)に到着。



起点看板のすぐ近く、舗装の切れた地点から。



見た感じ・・・・なるほど、砂利も細かく締まっている。実にフラットだ。下手な駐車場より走りやすそうだ。

とは言えXSR700のPくんには、いったん別れて出口で合流を提案していたのだが、「行ってみる」とのこと。まあ・・・セパハンのSSとかならさすがに止めるが、一応スクランブラーっぽくもなくもないXSRなら、行けるのかも知れない。ダメならダメで引き返せばいいから無理するなと話をして突撃を決める。


尺取り虫のブラウン君も応援してくれている。


実際、走り出してみると実になんの問題もない。インカムでPくんも「余裕ですね」と呑気だ。

が、数百mほどのところで、いきなり道幅いっぱいの泥水たまりが出現した。

うわー・・・と思い歩いて様子を見てみると、水溜まり部分は浅くわりと締まっていたので、一本橋的にそろそろと突破。

ゆっくりとやってきたP君も迷いつつも突撃し無事クリア。

その後は概ねフラット砂利道。

急坂部分などは若干ガレていたが、それも長い距離ではないし、全面的でもない。
このくらいなら大丈夫。緊張からまだ体が堅い気がしたが、まあ、走れる。

今日は、ABS解除機能も初めて使った。せっかく解除したので、コーナー進入時に無駄にリヤをロックさせてみる。もちろん、車体は完全に直立させているので、横にスライドもしないしそのままドリフトなどということもまったく起きない。けど、やっぱりちょっとずついろんな挙動を試すことでだんだんと車体に慣れていこうという気持ちだ。

走行モード「エンデューロ」も安心感がある。何度かリヤタイヤがズルっと行ったが、きっとGSが補正してくれたのだと思うと何か安心。

そんなこんなで・・・むしろXSRのP君の方が心配だが、自分はまあ大丈夫だなと思い始めた矢先・・・・





なんだよコレ!と叫んでしまうシチュエーション発生。

そういや昨日は結構、激しい雨が降っていたはず。もともと泥が溜まりやすい場所なのだろうが、思い切り水を加えて捏ねられてネチョネチョになっている・・・。


盛り上がった泥部分は10cmくらいは足が埋まる深さ。しかも何本もの轍があり道自体も曲がっているので、真っ直ぐ突っ切るというわけにも行かない・・・。

またGSが寝転ぶ未来しか見えなくて、なんだか心臓が苦しくなってくる。いつから俺はこんなに小心者になったのか・・・。いや、まあ最初からか。

Pくんを待ちながら、入念に徒歩で安全そうなルートを確認した。結局泥水部分がマシなのと、谷川にはガードレールがあるので、その縁の雑草を踏み越えていくようなところが安心かなあと・・・。わりと安全そうな経路は決めた。あとは、10mほどの一本橋だと思って行くしかない。

覚悟を決めてスタンディングにて発進・・・・したら、泥ゾーンに進入していきなり滑ったああ!!そして不本意なレーンチェンジ!

完全に予定と違う位置に入ってしかも止まってしまった。だが、水たまりの中でも普通に停車できることに少し安心し、再発進。なんとかよちよちと水たまりを突っ切り無事に突破!あー。良かった。またバックミラー買わなきゃいけないかと思ったわ。

Pくんもそろそろと発進したが、よくXSRで来るよなと思ったら・・・・見ていて気づいたが、彼は脚が長くてXSRでも両足踵をベタ付けすら膝が曲がるほどだ。それで、いわゆる二輪二足走法的に難所を漕ぎ進んでいる・・・クソ、妬ましいな。

とはいえ、本日2度目の、豪快な泥々ゾーンを無事突破できたことで、ちょっと心にゆとりも出てきた。

そこから先はほぼドライでフラットだったこともあり、徐々にダート走行が楽しくなってきた。そうそう、このくらいでいいのよ。



眺めの良いところで一休みしたり。



切り通しなんかもあったり。

なんだか走りも軽快になってきたような。





そして、結局10kmほど走ったろうか。無事に通過し、舗装路へ。

まあ、一応あと数kmはあるのだがそっちはゲートが閉まっているのでパス。


・・・いやー。

林道走りたいとか言ってGSを買ってみたものの、いきなり転けたり通行止だったり、それに実際、少し荒れた道だとおっかなくて正直ちっとも面白くない、といった具合だったのだが・・・。

今日は良かった。面白かった。
林道を抜けたあとの一服が実にうまい。

クリスタルラインで舗装林道を50km以上をほとんどロー・セカンドで走ったことにより、少しは850ccのエンジンを回す感覚にも慣れてきた感覚はあった。
その上である程度の距離の、それなりに走りやすいダートだったので、走るうちに「あー、林道ってこんな具合に走ると良いんだったな」というコツを思い出してきたような気もした。

泥々ゾーンは水溜りを走る方がよいという経験値も得られたし、パワーが出るのにビビってギヤをあげて回転を下げ過ぎるとむしろ加速も減速もコントロールが効かなくなるのでしっかり回した方がよいということ。目の前の地面ばかり見ないで早め早めに点と点をつなぐルートを選んで走ること。ニーグリップがやっぱり大事。そういった基本がやっぱり大事だなと。

ま、慌てず無理せず、徐々に乗りこなしていけることを楽しみにしよう。



町道に戻り、北上し川上村へ。このあたりの大規模レタス農場はいつ見てもちょっとテンションが上がる。レタスが好きになってしまうくらいだ。

信州峠を抜けて、R299で十石峠・・・と思っていたのだが、通行止めらしいので佐久方面へ抜ける。

途中で立岩という場所があったが、なるほど



これが立岩なわけね。でも、この道は何度か通っているけど今まで気づかなかったなと思ったら、道路脇の木が切られて見晴らしがよくしてあった。

県道93号で下仁田に抜けることも考えたがこれも通行止めらしい。それでもR254ではつまらないと思い、その北側の県道44号というのを走ってみることにした。

県道2号で北上するのだが、このあたりの景色も実によい。平野部で大規模な水田が広がるが、ところどころに巨大な岸壁を見せる山がそそり立っていて、なんだか昔話にでも出てきそうな雰囲気でもある。北に向かっているのに前方が開けていく感じが、なんだかこのまま走れば日本海に出るのだなという感覚をもたらす。



青空と重い雲と水田の緑、曇天を写した水の鉛色が綺麗に思えて、路肩に止まった。

44号線に入ってしばらくすると道は峠道になる。峠を超えてやや走ったところでふと気づくと前方に荒船山が見えるではないか。



曇天のデジタルズームで霞んだ写真を無理に補正したらなんだかゲームっぽい色彩になってしまったw

R254への合流を目指して峠を降っていると、「世界遺産 荒船風穴」に5分くらいで着くという看板が。

あれ?そういう場所だったか。あまり意識していなかったけどせっかくだからと、もう日もだいぶ傾いていたけども行ってみることに。

営業はしていないだろうけど、雰囲気くらい見れるだろと。


途中、突然に細い道のすぐ横に牛の群れが現れた。


雑草を食いまくっている肉。



16時で営業終了していたが、「冷風体験スペース」は入れたし、屋外の説明看板も読み放題なので、わりと世界遺産観光ができてしまった気分。



その後はR254に合流し、下仁田から高速へ。

上里SAで軽く飯を食っていくことにした。



天やの天丼。これはまあだいたいどこで食っても安定して美味い。ま、ツーリングの飯としてはちょっとつまんないけど・・・。コロナのせいか、街道沿いにいくつかあった店は閉まっているところが多かったし、仕方ないか。


この日は結局、432km走った。疲れたといえば疲れたが、やはり高速の楽チンさは今まで俺が乗ったバイクの中では抜きん出ている。

バカバカしいかと思っていたオートクルーズ機能が結構、使ってみたら気に入っていて、これをほどよく設定して流れにのっていると、ほんとに気を使うことが何もないのでかなり楽。

インカムは安物だけどラジオつきにしたので、後半はFMを聞きながら(まあ、ろくには聞こえないのだけど)まったりと走っているうちに帰ってきたという感じだ。

帰りの高速が楽だと思うと、夕方に家から遠くにいても「うわあ、これからさいたままで帰るのかよ」というネガティブな気持ちがあまり湧かないので1日楽しい。

今回はGSで初めて、ちゃんと林道を走りきったということもあり、とても満足度が高いツーリングであった。








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