In the night of a lonesome mountain path
11月下旬、久々というか今年初、そしてGSで初でもあるキャンプツーリングに行って来ました。
本来はP君が「今年のうちにキャンプツーリングに行きたい」と言っていたのに付き合うつもりだったのに、前日になりP君のXSRはとっくに車検が切れていたという面白い事実が発覚。抜けてる奴め・・・。
とは言え、天気も良さそうだし、こちらは家庭の都合もあり今年ラストチャンスな日程だったので、俺はそのままソロで行くことに決めた。
行き先は秩父。まあ、寒いし、前日も深夜まで仕事してたしなので、無理して遠くに行くのはやめておく。
当日、朝起きてからあれこれと道具を確認して、家にある中からキャンプっぽい食材を掻き集めて・・・とやっていたら結局、出発したのは昼頃だった。
まあ、秩父あたりなら。御荷鉾スーパー林道を走って、それからどっか探すつもりだから、急がなくても大丈夫でしょう。
圏央道を川島ICで降りてから、R254でしばらく進み、いつものセブンでコーヒー調達と同時に昼代わりのアメリカンドッグ。これって、パンとおかずが合体していて温かいのに100円なのでコストパフォーマンスが素晴らしいよなといつも思う。貧乏くさいけど。
そして、このコンビニでいつも気になる看板。完全にビックリマン。天使の輪の代わりに金のハンドルがついていたりしつつも、さりげに右手にノーモア映画泥棒がいたりして、結局なんなんだ?といつも思うが、最終的に考えるのはこれもいつも同じで、
天使か女神っぽいこの子は結構可愛い。
少年の頃にビックリマンシールを少し集めてた頃には、女の子っぽいのが出ると「ゲー、女かよ・・・」という感想だったのだが・・・。
さて、そんなこんなで都幾川から奥武蔵グリーンラインに入り秩父に抜けようというつもりなのだが。グリーンラインは19年の台風以降、そこらじゅうが通行止めだけど、微妙に秩父には抜けられる(ルートは時々で変わる)のだが、今回はどうにも、今まで通れた道が通れない。
ようやく本格的な復旧作業に入ったのか、いままでおざなりな看板があるだけだった場所にしっかりバリケードが作られていたりして。
結局、白石峠から都幾川方面に戻り、r172から行ったことのない西側へ。抜けられるような抜けられないような、判じかねる看板があったがよくわからないので行けるだけ進む。
こういう林道ならしい。舗装路だが、低木の斜面を縫って登るようなところがあり、結構良い道。で、どうなのかなと思っているうちに、刈場坂峠に着いた。
ここには、Ninja250SLでライダーにリターンして秩父に来るようになった当初はよく来ていたけど、F850GSでは初めてだ。
そのまま西へ、正丸トンネルの入り口に抜けて、何とか秩父には到達した。
が、だいぶ時間をロスしてしまっていて、冬至も近いこの時期、どんどん日が傾いて来ている。こりゃあ、御荷鉾スーパー林道とか行ってる時間は明らかにないな・・・。
それでも、武甲キャンプ場は満員御礼ということだったし、とりあえず先を急ぐ。土坂峠を越えて、R462に出たところでしかし、ちょっと予定変更して寝るところ探さなきゃと思い至り。
結局、御荷鉾スーパー林道ではない、以前に通ったことのある寂れた林道の傍で野宿することに。
平らで、通行の邪魔になりそうにもない広めの場所を見つけたが、到着時、もはや日没5分前。
冷たい風が吹いて枯葉がガソゴソと舞う寂しい山奥に独り、日も暮れて暗くなる中、「なんで用もないのにこんなところに来てしまったのだろう」という後悔がちょっと沸き起こる。
が、速攻でテントを立てて、そこにマットと寝袋と枕を放り込み、椅子を組んで飯の準備をすると、なんだか途端に心強くなってくるものがある。人間、いや動物はやはり、「住居と食料がない」という状況に酷い不安を感じるが、それが確保できた途端に「住めば都よ!」というポジティブな気持ちが湧いてくるらしい。
そんな自分の心の機微を感じられるのがまあ、ソロキャンプ野宿の醍醐味ですね。
さて、飯なのだが。最近(と行っても1年くらい前だが)のキャンプではいつもステーキ食ってワイン飲んでという感じだったのだが、今回は初心に返ってシンプルなものを。
(俺の思い込みによれば)野宿ライダーのド定番であろう、さんま蒲焼と、一合の米。これがメインだ。
このメニューは、はるか昔、自分がまだ学生で、夏休みに北海道を目指し初めてキャンプツーリングをした際の初日に用意したのと同じものだ。
あの時は道具もチープで、経験もなかった。アウトドアの経験以前に人間としての経験値がやはり低かった。1個だけ持っていハンドライトが早々に玉切れをし、闇の中でスペア球に交換もできず、結局米も炊けないで、テントの中で缶詰だけ食ったのだった。そして汁をこぼした為に以降、俺のテントは常にさんま汁臭く・・・半べそを書きながら寝た、いや、寝ようとしてもろくに寝付けなかったという苦い思い出がある。
まあ、今の俺は違う。そもそもランタンはLEDだ。そうそう球切れなどしない。
・・・と思っていたら、ふとランタンの明かりが暗くなる。まさかの電池切れ!
・・・予備の電池は・・・あれ?ない。
しかし、こんなこともあろうかと俺の証明は正・副・予備の3系統。ユーティリティナイフに括った小型LEDランプを取り出すと・・・あれ。これも電池が切れてる・・・。
ま、焦ることもない。
秘蔵のスーパーLEDマグライトを取り出す。素晴らしい明るさ!・・・・しかし。これも数分したらふっと消えた。
・・・・LEDって、電池切れが突然だからつらいよね?
つうか、どうしよ?
と思ったが・・・幸い半月が煌々と光っていたので、基本的に月明かりで過ごし、ここぞという時だけ休ませておいたランタンを短時間点けるという方法で何とか寝るまでしのいだのであった。
しかし我ながら進歩が少ない・・・・。いや、次々起こる電池切れに落ち着いて対処できてるのでまあ、進歩してるのだろうかね?
で、米もバッチリ美味しく炊けたし、さんま蒲焼丼はなかなか美味かった。
それにしても、このメスティンというのは、スウェーデン製ということだけど、確かに米はすごく炊きやすい。しかし本当は何を調理するためのアイテムなんだろう?スウェーデン人てそんなに炊いた米食うの?
あ、ちなみに、持ってきたガスバーナーもガス欠気味でパワーが出なかったので(どこまで準備が悪いのか)、スペアで持ってきたアルコールバーナーで飯は炊いたりした。
ビールは、幸か不幸かよく冷えていて、はっきり言ってたいして美味くなかった。寒いので!
が、ここは準備よく持ってきたスコッチ(ホワイトホース)のお湯割りは実に美味かった。
いつしか風もすっかり止んでいた。
丼のあと、スパムをスライスして焼きつつ。煙草など燻らせつつ。
星空を眺めつつ。
9時頃にはテントに入り、しばらくはKindle Fireで映画など見てみたりしてたが、11時前には眠った。
翌朝は6時半頃に起きたが、こんなに眠ったのは久しぶりだ。
気温は2度。
朝の方が寒いので、あったかメニューを。
韓国の、ノグリという袋麺。煮込みに強い太麺と辛いスープが、こういう場合にはピッタリだろうと期待。そして期待通りに美味かった。
日韓関係は最悪な状況が続いているが、政治は政治、文化は文化と切り離して落ち着いて相互理解が進めばよいなあ、などと思いつつ。
腹を満たして、その場を完璧に片付ける。
野宿になってしまったので、そりゃあもう忍者の如く、そこに俺がいたという痕跡を何一つ残さない感じで撤収。
初冬の朝、寒い林道を走るのはとても新鮮な気持ちだ。ここ数年、すっかり夜型生活になっていたので、ただでさえ清々しい朝の空気が、なんだかものすごく気持ち良い。
写真が下手くそなのでただの枯葉だけど。朝の斜光で赤く光る様がなんとも綺麗に思えたり。
足元を見れば、霜が降りていたり。
日が低いからか、いちいちどうでもいい藪さえドラマチックに見える。同じ日が低いのでも夕方とは違う赤みのない光線がやたらに爽やかで静謐で、いっそ退廃感すら覚える。
なんて心のポエマーが呟きながら林道を下り、麓の公園のようなところまで来たところで、水道を見つけたので歯磨きでもしようかなと。
御荷鉾は、この砂利道の左右に草原があるというのがやはり楽しい。
ふと見上げると、なんでか桜が咲いている。よくわからないけど、冬に咲くのがたまにあるらしい。
滝・・・ではなくて砂防ダムにかかる紅葉。いい色だった。
気温が1度とか2度とかなので、さすがに寒い。
が、買ったばかりのワークマンの防風パンツは意外に優秀で、中にタイツも履いていないのに下半身はさほど寒くない。これいいな。ゴツいのじゃなくて薄い奴なんだけど。
手が、こちらも新しく買ったコミネの防風グローブだが、さすがに冷える。が、そうだそうだとグリップヒーターをONにしたら、まあ・・・なんだかんだであ耐えられるレベルにはなった。
山からR462に降りて東に、神流湖方面に進んで、法久方面から御荷鉾スーパー林道の舗装区間へ。それから西に向かって進む。
舗装区間であっっても、朝の御荷鉾スーパー林道は楽しかった。周囲に見えるニョキニョキと不自然な岩山を眺めて、変なのとか思いつつ、タラタラと走っていたら、東御荷鉾林道の入り口に差し掛かり・・・ふとその入り口が気になって、止まりかけ・・・まあいいか、と進みかけ・・・いや止まろうか?と逡巡した結果、
重力に逆らうことが嫌いならしい俺の可愛いGSちゃんがまたゴローンしてしまった。
また右か・・・。
以前に転けて折って以来、安物のミラーをつけていたのだけど、つい先日に純正の右ミラーを買って付け直したばかりだというのに・・・。
とはいえ、慎重に様子を見てみると、折れてないのを確認。起こそうと揺すって折ったら嫌なので、まずはミラーをぐるっと回して避けておく。
で、さて。
このF850GS、慣らしを終えた最初のツーリングで赤切符を喰らい、その次の初ダート林道で立ちゴケした挙句に自力で起こせず、友人の助けを呼ぶという黒歴史を背負っている。
その後、大胆かつ慎重に(フラット系)ダート林道へのチャレンジをして今年はそこそこ楽しんできたものの、どこかで自分に対して「自分のバイクも起こせないダメGSライダー」という負い目が出来てしまって、モヤモヤしたものを抱えている。体力のない自分にGSは分不相応なんじゃないかと。完全に乗りこなすとかそういう話はどうでもいいとしても、起こせないってダサ過ぎでしょう?林道でコケたらまた誰かに電話する?歩く?有りえないでしょう?・・・。
なのだが、一応その後、筋肉は簡単に付けられないけども、YouTubeなどで「バイクの起こし方」みたいな動画も各種見て研究はしておいた。
長らくバイクを離れた後に、やたら軽量なNinja250SLなど乗っていたので、引き起こしの手順的なモノもすっかり忘れていたようで、知識はいろいろ補完された。
さあ、あとは実践あるのみ。出来るか?いや、この「起こせない」という気持ちがダメなんだ。力学的に必ず可能なはずなので、とにかく起こすのだ!
と、・・・腕は伸ばして足の力で、上にじゃなく向こうへ・・・みたいなコツを思い出しつつえいやと踏ん張ったら、意外や意外、実にあっけなくGSは起き上がった。
・・・なんだよ。・・・やれば出来るじゃん俺!俺万歳!ビバ!俺のパワー!
これは結構、だいぶ嬉しかった。
前日にバイク仲間のPくんと話した時にも、「未だに引き起こしが不安で、いっそシーズンオフの前にわざと倒して起こそうかと」なんて話していたくらいだったので。まあ、それでわざと転けたわけではないのだけど。
そして起こしたGSは、またもやほとんど傷もなく。エンジンガードとハンドル端、ともに前に転けた時点で傷になっていた部分だけだ。すごいなGS。これだけ重くても、これだけ壊れないとは。
あ、でもよく見たらブレーキレバーはショート化されてた。
とはいえ、「レバー折れた」の心の傷よりも、「引き起こせないトラウマ」が癒えた方が大きくて、むしろ上機嫌で先へ進む。
いやあ!楽しいな。コケてもいいと思うと安心感が違うわ!(良くはないだろ・・・)
御荷鉾スーパー林道の東寄り、舗装区間からの眺めもまた良い。この道がダートだったら、どれだけ素晴らしかったのだろうか。中学生の頃、「GARRRR」を読んでいた頃から名前は知っていたのに、オフ車に乗っていた大学生時代にさえ来なかったのが悔やまれる。
友達が少ないので人伝の情報が少なく、インターネットはまだ貧弱でGoogle Mapも存在しなかった時代とは言え・・・。当時住んでいた神奈川から、北海道にも九州にも行ったのに、なぜに埼玉や群馬には来なかったのだろうか、俺は・・・・。
まあ、そう言って時間が戻るわけでもないので、今は走れるところを楽しんでおくのが結局重要というわけだ。
そして、東側から御荷鉾スーパー林道のダート区間に入る。
山の神展望台からの眺めは今日も素晴らしい。
エキゾチックと言うかファンタジックと言うか・・・。道の両側に崖や樹木が迫らない開けたダートは、冷えて澄んだ青空とも相まって、なんだか少し、映画やゲームの中の景色のような印象だ。
おまけにモンスターも出るらしいし。
モンスターには警戒しつつも、冒険者な俺としてはせっかくなのでこのレッドロングロープ山に登ってみることにした。
まあ、わりとすぐに山頂。
眺望はさして良くない。
でも、とりあえず山頂に到達すると楽しいものだ。GSに乗ってからの俺のブーツはゴールドウィンのジャングルブーツ風の編み上げブーツ。オフロードブーツに比べれば防御力は心許ないが、普通に歩きやすいのでこういう時に身軽なのは良い。
山を下り、ダートを抜けて、八倉峠の先の展望台へ。
まあ、お馴染みだけどやはりここからの眺めもまた良い。重畳たる山々を眺めていると、なんだかいろいろとわかって見切ってコントロールしている気になっている普段の自分が、ちゃちな勘違いをしているだけのショボい人間なんだという気がしてきて、変にスッキリする。月並みだが。
気づくと鷹が一羽。
・・・カラスの集団に虐められてたけど。
水辺じゃないしピーヒョロ言ってなかったのでトビではないと思うけど、正確には何だろう?尻尾の三角さと、カラスに負けてたところをはトビっぽくもある・・・。
(調べてみたけど今ひとつわからず、そこで引っかかっているうちに年が明けてしまったので話を先に進める)
八倉峠から下仁田に抜ける道で、街に出る前の自販機で休憩。・・・最近、道の駅もちょっと飽きて来たというか・・・。出来始めた頃の道の駅って、何も無かったり、いかにもローカルな感じが強かったけど、近頃はなんだかモダンでマーケティングに力が入ってるところが増えて、・・・なんつうかつまらなくなってきたので。足が向かない。まだ面白いところもあるにはあるけど。
それにしてもどこにでも現れる炭治郎。
喉が渇いていたので、ずいぶん久しぶりにカルピスウォーターを買ってグビグビと飲みながら周囲を見渡すと、眼科の集落の向こうにきになる神社が見えたので、ちょっと行ってみようと。
ダートだったが、すぐ行き止まりだった。500mも無いんでないか。こんなんでもいっちょまえに標識は立つのか?それとも本当はまだ続いていたのだろうか・・・。
気になった神社。
沢を丸木橋で渡ると、古びた鳥居から続く苔むした石段の奥に小さな社がある。
石段の右手には小さな滝があり、左手にはイチョウの巨木が鮮やかに色づいている。
なんだかドラマチックだなと思った。
下仁田に抜ける際、時間にゆとりもあったので、初めて宮室の逆断層に寄ってみた。
群馬のジオパークとして看板はいつも目にしていたが・・・。
個人的にはわりとじっくり観察したのだが、絵面的には何が珍しいのかわかるものでもないので、写真は割愛。ただ、私はもと地質系の研究もしていたのでまあ、ああ、ほうほう、なるほどという感じでした。
下仁田で、これまたいつもスルーというか、通るのが夜なので閉まっていたロードサイドの下仁田ネギ直売所が開いていたので、一袋購入。
高速道路で後続車にネギ汁がかかったゴメンよ、と思いつつ、東松山まで。
小腹が空いたが、しっかり飯を食うほどでもなかったので、川島の直売所で東秩父的なうどんの弁当を買って、駐車場にしゃがみ込んで啜って、あとは圏央道でさいたまに帰った。
今回、GSで初めてのキャンプツーリングということになったが・・・。
手短に感想を言えば、やはり楽だった。パニアを付けたらもっと楽だろうなと思いつつ、同じタナックスのリヤバッグでも、Ninja250SLの頃とは安定性が段違い。しかも、2日連続で走ることによる疲労の蓄積というものがやはり、無い(目立って感じられない)。
やはりGSを日帰りだけ乗っているのはもったい無い・・・となると、サイドケースが欲しいような・・・しかし、サイドケースをいつも付けてるのは嫌だし、外した時の補助フレームみたいのもダサくて嫌だし・・・。
いずれにせよ、来春以降の夢が膨らむツーリングであった。
下仁田ネギは、鍋にももちろんしたが、カツ丼にしてみたりもして。
カツ丼は普通は玉ねぎだろうと思うが、下仁田ネギは甘いので、豚カツとも相性よくて美味かった。
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