初夏の山を走ると、あちこちに薄紫のヤマフジを見かける。
つる性のこの花を綺麗に撮るのはどうも難しくて、なんかぐちゃっとした写真になってしまうが、走っていて見かけると綺麗なものなのだ。動的な景色の流れの中での山の花々というのは俺はとても気に入っていて、これはバイク乗りだけが見える風景だと思っている。もちろん、車や徒歩でも同じパースで観ることは出来るのだが・・・。なんだろう。静止している景色なのに動画のように感じられるし、単なる景色を観るというよりは体感するような。
まあ、ともかく。
御荷鉾スーパー林道はとても気に入っている。名無村林道の走りごたえも素晴らしい。それでついまた走ってきてしまった。
通い詰めるつもりでもなかったのだが、久々にXSRのP君と一緒のツーリングだったので御荷鉾スーパー林道になってしまったというのが本当のところ。
なにせ、XSRで走れる林道は限られるので(そもそも前提が何か違うかもしれないけど)、とりわけフラットなところを選ぶわけだ。
御荷鉾の素晴らしい景色に蕩れた彼が、XSRのエンジン以外を買い換えてテネレに乗れば、俺の今後の林道行きの安全も増すという打算など、もちろんあろうはずもないが。まったく!
白石峠から定峰経由、モーモーランドの峠越えで皆野に抜け、華厳の滝の裏から神流湖へ、法久から御荷鉾スーパー林道へ・・・という前回のルートをそのままなぞるような形。
まあ、同じルートで新鮮味は薄れるが、景色がよく、曲がりくねって走って楽しく、空いている道なので良い。R299のような渋滞して面白みもないルートで秩父方面に行くというのはもう俺は耐えられない。だいたいああいうルートは警察は出るしオービスもあるし。いや、私は安全運転励行してますけど、もちろん。
さて、法久から御荷鉾スーパー林道(舗装部分)に突き当たり左折する時に、ちょうど目の前をバイクが行ったので着いて走る形になった。女性に見えたがわりとスイスイと良いペースで峠道を走るので、慣れているなあと思いつつ、ちょっと間を取りながら後ろを走る。御荷鉾の森林公園側入り口で止まった時に見たら、俺のF850GSと姉妹品であるF750GSではないか・・・。しかも、俺が購入を検討しつつも迷っているANAKEE WILDを装着している。うーん・・・なんか無駄な敗北感を感じた。ダート性能重視で850GSを選んだのに、明らかに俺のが方がナンチャッテアドベンチャーではないか・・・(笑)。
ただ、先ほど見ていた舗装路の走りを見る限り、心配していた舗装路性能も、まあそう悪くはないのだろう。うむ、これで心は決まった。
さて、ともかく。
水を入手しなければいけない。白石峠の清水を汲もうと思ってたがうっかり見落として水を持っていない。これでは昼飯に困る。
ということで、r177で藤岡方面を15分ほど戻り、「藤岡の名水」を汲みにいくことにした。
県道の右手から沢の方に下って徒歩で坂道を降りたところにあるのだが、名水に蛇口がついてると思わず、ウロウロと下の民家の玄関まで行ってしまった。皆さん、ここの水汲み場はこの石像の右下、平べったいレバーを捻ると出ますので!そこから先行って住人に迷惑をかけぬよう注意しましょう!
さて、ここから御荷鉾森林公園入り口に戻るのだが・・・・。P君にはそのまま好きに戻ってもらうとして、俺には近道があるのだ・・・。
名無村林道だ!
フラットとは言えない感じが走りごたえがある。が、それだけに、やはり慎重さを要求される。なにせ加速は出来るが、まともに曲がるのが難しい。車体を立てて入り、あるいは山側や轍の斜面に合わせて、ほぼハンドルだけで操舵しつつ、失速しないように登っていくのがまあ・・・達成感のようなものはあるし楽しいと言えばそうだけどちょっと神経使う。
とはいえ、二度目でもあるので、わりと落ち着いて走り抜けると、Pくんは既に着いて煙草なぞふかしていやがった。名無村の名の由来となった伝説(彼の妄想であり事実無根)について検証することに夢中になりすぎて路肩に突っ込みかけたとか意味のわからないことを言っていた。
名無村林道の後の御荷鉾は「ああ、本当にフラットだな」と感じる。軽快に走って管理事務所の駐車場でしばらく待っていると・・・
XSRでP君が現れた。まあ、危なげのない走りをしている。彼はマイペースで無理をしない性格なので、こういう多少無理のあるところに付き合ってもらっても安心できるところはある。
しばし休憩したものの、ここは暑いし人も出入りが多く落ち着かないので、ランチスポットは別の場所にすることにして先に進む。
3番目くらいに現れる、俺が気に入っている四阿に着き・・・・
・・・懲りずにモンゴリアンなランチタイム!
だが、今回はいつもとはちょっと違う。そもそも蒙古タンメンではなく蒙古トマタンであるし、バーナーもTrangiaのアルコールストーブだ(ガス缶が空だったから)。
アルコールストーブは道具としては味があるが、いかんせん火力が弱い。カセットボンベ使用のP君と同時に湯沸かしを初めても、倍くらいの時間がかかった・・・。米を炊くにはこの弱火がまたちょうどよい気がしているけども。
コロナで人に会うなと言われるからツーリング先で飯屋に寄って県外人は帰れとバケツで水を撒かれないか心配なので・・・ということはないだろうが、やはり、遠くから来る人間は歓迎されないのかなと思うと、楽しみのひとつであるツーリング先での食事もどうしてもラーメンになりがち。まあ、ラーメンはラーメンで美味いのだが。
そして俺は無駄なこだわりにより、ツーリングで作るカップ麺の水は、冒頭のようにツーリング先で湧き水をゲットすることにしている。何箇所かはもう定番を決めているので、どっかに寄ればいいのだ。
カップラメーンでも、美味い水で作ると水道水より味がまろやかになる傾向はある。まあ、逆に水道水はやはり一定はカルキ臭がするので。毒とは思っていないけども、臭い・味は確かにする。
さて、腹が膨れたら眠気が来たので、そのままベンチで7分間の昼寝をし、一服して出発。御荷鉾スーパー林道の残りはわずかで、間も無く八倉峠側に抜けた。
いつもの如き、すばらしい眺め。
重畳、重畳。
ここはどうしてもこういう写真を撮りたくなる。もう何枚も似たような構図で撮ってるのに・・・(笑)
その後、南牧に抜けたが、まだこのまま下仁田から帰るには早いだろうということで、r93で田口峠へ向かう。
ここを調査するために!
と、残念ながら立ち入り禁止と書いてあるが・・・思い切り横も開いてるので、まあ、通り抜けはできないのだろうけど、そのダメなところまで様子をみたいなと思いつつ。
どういう道かもわからないので、P君にはちょっと待ってて貰い、5分で進める範囲だけ見てくるということで入ってみたが。結果、2、3分進んだら前方に工事している様子が見えたので引き返した。けど、まあどうやら難易度的には普通に走れる道だなとわかったのは収穫だ。
工事しているなら近いうちに直るのだろうと期待しよう。
林道の傍にも山藤が。
そして、南牧から田口峠を経由して佐久方面に抜けるこの下仁田臼田線は田口峠を水源のひとつにする雨川に沿って走るが、その雨川は紛れもなく長野の川で、それがいつも面白い。
山奥の渓流なのだが、渓の両サイドに岩塊が迫るようなことがなく、樹林の中を流れており、両岸が開けているのだ。これが、俺が「ティモテ」と呼んでいる景観であり、埼玉や群馬の渓流ではあまり見かけないものなのだ。
そもそもの背景は地質的な要因だろう。埼玉県秩父地方はチャートと石灰岩が多く、切り立った深い谷が多い。奥多摩も同様だ。一方、群馬は火山性の変性を受けた岩石が多いため、ニョキニョキと尖った山とその間のひらけた大きめの川があり、河原には丸く磨耗した火成岩が多い印象だ。そして長野は砂岩が多いので、角ばった細かい岩が多く、それらが比較的早く分解されて土壌化するために樹林の中を川が流れる景色になる。・・・まあ、適当な推測だけど。おそらくそんな感じ。
東山線から引き返して来ると、P君は道端にウンチングスタイルでしゃがみこんでいた。まさか野グソでもしているのかと一瞬思ったが、「確かマムシなんとかという草」を見つけて観察していたらしい。
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マムシグサ
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帰ってから調べたらそのままの名前だった。そして、全草に毒。触るだけでも炎症を起こすことがあるし、食べたりすれば最悪死ぬそうだ。素手でさわっちまったよ・・・危ねえ・・・。
特徴的な苞と、茎のマムシ模様で覚えやすい。実の写真を見たら、秩父のグリーンラインでも何だろうと思って写真に撮ったりしていたモノだった・・・。気をつけよう。
ともかく今回の結論は、「タイヤ変えよう」なのであった。
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