晩秋の長野キャンプツーリング〜万沢林道

日が経ってしまったけど、10月の終わりにキャンプツーリングに行ってきました。

北海道もかくやという直線。でも長野です。

なにせ、パニアケースも買ったのだからせっせとキャンプにも行きたい。そんな都合もありつつ、ちょっと寒いかなとビビりつつ。


「友達ほかにいないのかよ」と言われたらつらいけど、バイクで一緒にキャンプに行くような友人はこの歳になればそうそういないのが実際のところ。・・・いや、すいません、若い頃にもそんないなかったわ。

ともかく、今回もP君と高速で落ち合ってのツーリング。



ただでさえの行楽シーズンに加えて、非常事態宣言も明けて、2年か3年か我慢していた生真面目な人々も一斉に動くからか、高速は朝から結構な混み具合。

とは言え、やはり朝から高速道路で、短いながらも旅に出るのはやはり楽しい気分だ。まして、こんなに良い天気ならば。

松井田妙義まで一気に走り、そこからは県道で北上する。横川SAより手前で降りてしまったので、俺のお気に入りの駅弁をゲットできなかったがまあそれは仕方ない。

県道33号、渋川松井田線はそこそこのワインディング。アップダウンは控えめだし、カーブもそこまでキツくはない(林道と比べて)。林間の風情が楽しめる静かな道だけど、林道ほど荒れてもいない。そういうせいか、いつも小型の四輪で楽しむ人々に遭遇する。確かにちょうどいい気がする。というか、通ると毎度、ケータハムがいる。複数いたり。その筋で有名なんだろうか。

まあ、彼らはなかなか良いペースで走るので、壁のように前をふさがれてイライラしたりもしないし、ワインディングを走る姿もなかなか絵になっているので、たいがい後ろからまったり鑑賞しながら付いて行くのも・・・いとをかし、だ。

で、そんなこんなで突き進み、八ッ場ダムに到着。



あの八ッ場ダムだ。中止と再開で揺れた八ッ場ダム。
民主党政権のトンチンカンさの象徴にようにされてしまったアレ。
2019年の台風で、ダムの有用性を証明したかのようなアレ。
いろいろ曰く付きの。



奥に見えるのは、国交相の文字が誇らしげな資料館。無料。ダムカードはその中で、自販機のような機械により配布されている。そんなのは初めてだ。たいがい適当に置いてあるもんだと思っていた。



紛れもなく。


荘厳な重力コンクリート式ダムの躯体。
緊急放水様の流路にかかる赤い橋が洒落ている。

上部のラジアルゲートは、ダム下層の死んだ水を放流しないことが出来るように選択的に深度をコントロールして水を吐き出せる仕組みも備えている。と、資料館の模型で説明されていた。

・・・ダムカードはなんとなく集めているし、巨大構造物の圧倒感も嫌いではない。このラジアルゲートのように、下流の生態環境への配慮のための技術も研究され、進歩してきているようだ。それは評価できる。

だが、それをもって「ダムは日本に必要なのです!治水により人々の暮らしを守っているのです!ダム万歳!日本の土木技術サイコー!」というように諸手をあげてはしゃげるか?と言われればそれは俺には無理だ。

ダムは、間違いなく生態系は破壊している。池の水を抜いたらありふれた外来生物が出てきて、それを攘夷せんと大騒ぎしている番組が人気だったりするが、そんなことよりもはるかに大規模に、本来そこにあった生態系を破壊している。沈んだところだけではない。その下流域も、上流域も、ダムが出来る前と出来た後では、もはやそれは違う環境だ。外来生物というのが国境を越えているからいけないという人間の都合で言うなら、ダムの前後に住まう生物はどのみちそこらにいたのだから問題ないのかも知れない。けど、自然環境というのは人間の行政区に沿って発展しているものではない。そこにあるべくしてあったものが無くなった、それが即ち破壊なのだ。

とは言え、人は人以外ん環境を破壊せずには生きていけないし、ここまで来れなかったものでもあるから、自然環境を破壊することはすべてダメなんだ、そういう輩は死すべきだと、どこかの北欧のキレやすい少女のようなことは俺は思わない。

物事は簡単じゃないのだな、と、それがいつものひとまずの結論だ。

秩父の山奥でプチ・メガソーラー?を唐突に目にした時に、海際の街の護岸で整備された安全で歩きやすい海浜公園を訪れた時に、林道を分入って思いもかけない場所で砂防ダムや鉄塔を目撃した時に。同じ様なことを思う。人間のどうしようもなく愚かしく破壊的な一面と、したたかで賢く創造的な側面と。自然が好きだ山が好きだと言って大排気量のバイクで遠くまで出かけていく自分にも同じことが言える。アンビバレントなのが人間だ、と言ってしまえば短絡だが、実際そういうものだ。

八ッ場ダムの周囲には、ダムマネーが潤沢そうな(思い込みだけで言ってますが)きれいな飲食店がいくつもあったが、もうちょい歴史のありそうなところがいいなと腹を減らしつつ先に進み。

野反湖に向かって、六合村に至る。

適当に検索した山奥の蕎麦屋に向かったら、ずいぶんと人気店のようで、我々の前に入ったクルマで麺切れになったそうで。なんか悔しいが仕方ない。そこから少し戻って道の駅・六合(くに、と読む)へ。



最近は道の駅もわりと街中にあったりするが、ここは死ぬほど辺鄙なところにあって、初期の道の駅を彷彿とさせる雰囲気。街を離れて山奥や寂れた漁村を徘徊するライダーやドライバーのオアシス的な。

でも、実は温泉もあったようだし食堂も2つある。なかなか立派だ。

その、小さい方の食堂で、もつ鍋と迷って頼んだ手作りカレー。ここに来てカレー?というのもあるが、いやむしろカレーだろと。

ツーリング先では確かに蕎麦とか食いたくなるが。実はクソ田舎(失礼)のカレーと言うのは侮れない。出張先の離島でも食ったりしたことがあるが、しばしばやけに力が入ってるのだ。

六合村の道の駅のカレー。季節のベジタブル。

出てきたものはコレ。はっきり言って、美味かった。
素揚げ野菜のカレーはもともと好物ではある。でもって、このルーがまた、リゾートカレー的な味わいで実に良い。ジャパニーズトラディショナルカレーとも違うが、インドカレーでもない。タイカレーなどの東南アジア系に通じる何かがある気はするが、ガチのアジア系カレーともちょっと違う。なんというか、そこそこエキゾチックで爽やかな、それでいてしっかりした食べ応えも感じる。スパイシーだが後に残るほど辛すぎたり癖があるわけでもない。

給仕をしていたのは婆様だったが、調理をしているのは(マスク越しにはなかなか美人に見える)お姉さんだった。
その点も含めて、個人的には、これぞ「クソ田舎で若者が作るこだわりのカレー」だ。いや、すげえバカにしているように聞こえるだろうけど、少しもバカにしてはいない。大いに褒めているのだ。美味かった。今度行ったら今回食い逃した蕎麦が気になるけど、敢えてまたこのカレー食ってしまおうかなと思うくらい。

さて、昼飯にも満足して、野反湖・・・には行かない。



万沢林道入り口

入ろうとしたらちょうどダンプが出てきて、前回のキャンプツーリングで板石山にてちょびひげグラサンのダンプドライバーにさんざん怒られたPくんの顔色が曇ったが、「ここは進入禁止じゃない林道なんだから入っただけ文句言われる道じゃねえよ」とインカム越し叱咤して進む。

上の写真でわかる通り、P君は毎度ダートに連れ込まれるのが癖になり、ついにXSRにブロックタイヤを履かせてしまったのだ。途中に道の駅でも通りすがりのライダーから熱い眼差しで「すげえタイヤだ」などと言われていたほどだ。ここでダンプにビビっていても仕方あるまい。




ダートに入って少し行くと、噂に名高い直線路。

ただ、入った瞬間は「おお!」と思うけど、それだけではあるな・・・。
ゆっくり走ったらつまらんし、飛ばせば飛ばしたで、すぐ終わるただの砂利道という感じだ・・・。

その後は、たまに少し路面が荒れることもあるが、概ねは走りやすいダートが続く。



秋の山、という感じ。「あーきーのゆうひーーーにーーー てーるーやーまーも〜み〜じ〜」と歌いながら走った。低音パートで。

危なげもなく、終点まで抜ける。Pくんもやはりタイヤを変えただけあり、ずいぶん走りやすくはなったようで良かった良かった。

本当は秋鹿大影林道も行きたかったのだが、時間がなくなってしまったのでキャンプ場へ向かう。

暮坂高原オートキャンプ場というところだが・・・。



ここが実に良かった。
静かだったし、必要最低限の設備は整っている。
そしてそれらの設備には、豪華ではないが、オーナーの細やかな手入れと気遣いが見て取れる。

付近に温泉も多いし、これはぜひ来シーズンにも訪れて、2泊して信州・越後方面を徘徊する基地に出来たら良いななんて思った。




夕食の買い出しは草津の温泉街へ。有名な肉屋で肉を買ったのだが、P君が揚げ物にチャレンジしたいというので一人ひとつずつ、ヒレカツ(揚げてない)を買ってきた。

油は20ml程度しか持ってきていないので、工夫してなんとかしてみたが、それなりに揚がった。ヘルシーフライ風ではあったが、それなりにサクサクもしていて。

まあ、もうちょっと油持ってきたら普通に揚げれたのだろうな。それもいいけど、どうやって持って帰るかを考えないといかん。うーん。まあ、油保管に適したボトルを手に入れさえすればいいのか。200mlくらいでいいかな・・・・。

さて、夜はまた、補修したはずの枕の空気が抜けて大変だったり、結構寒かったりで微妙だったけど、いつしかそこそこ眠って気づけば朝が来ていた。

撤収して、四万温泉に向かう。草津も良いけど、家と逆方向だし、四万温泉はまだ行ったことがなかったので。

露天風呂につかっていると雨がパラついてきて、俺はそもそも抜かりなく防水ジャケットだしレインスーツのパンツも持参しているが、晴れ予報をアテにして雨装備がないP君はだいぶ狼狽えていた。そんなこともあり、生きたかった秋鹿大影林道はパス。

とりあえず、雨が小止みなうちにに帰路を急ぐ。



とは言え、国道を走っていてもつまらないので。


林道北榛名山線というのをルートに組み入れてみた。とはいえ、全線舗装。雰囲気的にはグリーンラインに近いだろうか。通る人が少ないようでところどころ路面の苔が恐ろしかったが、基本的には素敵な道であった。

何本かダートの支線もあったが、だいぶ荒れていたのでパス。もうちょっと腕に自信があれば行けるとこまで行ってみるのだが・・・。

結局、そのまま渋川伊香保ICに出て、渋滞回避で北関東自動車道を少し(初めて)使ってみたりしつつ帰宅。

というか渋滞は凄かった。やはりコロナあけだからかなあ。


最後は嵐山PAで蕎麦をすすって少し体を温め解散。あとはいつものルートで帰った。


今回は、良い場所に良いキャンプ場が見つかったのが収穫だ。宿題としては万沢林道と秋鹿大影林道をつなぐルートを今度行きたいというのがある。

あとは、枕がダメだったので新調を決意した(で、した)のと、寝袋がさすがに寒かったの装備強化を決意した(で、シュラフカバーを買ってみた)というあたりが今回のクエストの進捗です。


年内に少なくとももう1回、できれば2回はキャンプがしたいなあ・・・。


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