少し前まで夏の暑さだったのに、気がつけばあっという間に日が短くなり冬が近づいて来ている。
春に訪れて雪に嵌って大変な目にあった七ヶ岳林道。早くしないとまた雪になってしまうと思い、少し天気が不安定な予報だったが南会津へと足を伸ばした。
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川俣付近の小さなダムにて |
本当はキャンプがしたかったが、時間がとれずに日帰りツーリング。だが林道たっぷりのコースを考えていて、何か地元の美味いものでも食えればなと。朝は思いの外天気もよく、ウキウキと高速に乗った。
だが、浮かれすぎていきなり高速で道を間違える。
東北道で西那須野塩原まで行くはずだったのに、なんだかいつも秩父方面に行く時の癖でナチュラルに久喜ジャンクションで圏央道に突入。ジャンクションに入ったあたりで気づいたのだが、逆走するわけにも行かないから最初のICまでそのまま走り、ゲートを出る前にバイクを止めて事務所へ。管理者のおじさんは親切で、道を間違ったと話したら、Uターンをさせてくれた。ETCカードを1回抜く必要があったりして面倒だったが、まあそれは仕方ない。
気を取り直して進む。
好天の週末とあり道路は混雑の様相。コロナ空けの秋というのもあるだろう。渋滞から逃げるように、せっせと走ってわりと早い時間に塩原には到着。
ただ、朝の8時過ぎでは食堂はどこも空いていない。いっそ吉野家でも山田うどんでも構わないと思ったが、那須から会津への山道にそんなものもなく。
結局、道の駅田島まで来てしまった。その先にはいくつかラーメン屋があるが、開店まではまだ1時間弱ある。仕方ない、何かここで摘むか・・・・と見渡すと。
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道の駅ラーメン。会津風味。 |
お。ラーメンあるじゃん!
屋外の売店がラーメンもやっていた。これから林道に入ると昼は少し遅くなりそうだし、このくらい食っておいたらちょうど良いか。少し肌寒いので暖かいラーメンがことさらに美味かった。濃いめの醤油に太めの麺、大きめのチャーシューというのはわりと会津ラーメンのフォーマットなのではないか?ごちそうさまでした。
腹ごしらえも出来たので、早速出発。
前回は「モーレンの湧水」を組むために少し西から回り込んだが、今回はそのまま最短ルートで七ヶ岳林道の入り口へ。思った以上にすぐに着いた。
タイヤの空気を2割ほど抜いて、いざ。
ダートはフラットで走りやすい。
紅葉が綺麗でちょこちょこ停車しては写真を撮ってしまう。
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広域基幹林道七ヶ岳線 開通記念碑 |
前回、春に来た時は雪に埋まって何時間も動けず、地元オフローダーに助けて貰ってからも無事に山を出られるのか?という焦燥の中で走った道だが。本来はこんなに走りやすくて綺麗な道だったのだなあ。
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富貴沢線の分岐 |
春にはここから降りたのだった。
富貴沢線もえらく眺めのよい道だったが、舗装されているので今日はそっちには行かず、七ヶ岳のダートをそのまま進む。
場所によっては紅葉にはまだ少し早いのかも知れない。が、写真で見るより実際は赤や黄色があちこち鮮やかで、十分に秋の景観を楽しめた。
ここで一休みしていたら、反対からセローでやってきた方も停まったので、少し話をした。俺はシャイなおっさんなので普段はあまり人に声をかけないが、こう景色もいいと誰かに話もしたくなるというもの。
無事に七ヶ岳線を抜けた。
いやあ、景色もいいし走りやすいし、いい林道だなここは・・・。
来年もまた来たいな。
その後、春に停まった久川のキャンプ場の方面に抜けて、小塩塩ノ岐林道へ。
ツーリングマップルによると、「ゆるやかな峠越え ダート14.4km」。いいね。
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小塩塩ノ岐林道 味のある橋 |
少し狭く、やや荒れた道だが、やはり景色はよい。やや鬱蒼としている感もあるが、この時期には木が多いことが綺麗だ。
だが、進むにつれて、なんだか道の荒れ具合が激しくなってきて、気がつくと・・・
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道が、ない |
南側から入って4、5キロくらいで完全に道が無くなっていた。おそらく、小川を渡る部分が崩れたとかでそのままになっているのだろう。
Uターンできる道幅ではないので、降りてスタンドを軸に車体を回す作戦で無事方向転換。まあ、ちょっとびっくりしたけど、変に突っ込んだりしないで良かった良かった・・・・と安堵しながら降っていたら・・・。
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転けた |
・・・油断した。走りながら、ついトリップメーターが気になり液晶を注視してしまった。で、地面に掘れてる溝に気づかず、前輪が嵌ってしまい、バランスを崩して転倒。
まあ、怪我もないし、さっさと起こして・・・と思ったが。
起きない。
あれ?
60度くらいまでは起こせるのだ。でも、そこから先の一押しがどうしても行かない。写真ではわかりにくいが、前輪の下が溝状になっていてそこに車体が嵌っているので、向きを変えたりが出来ない。で、足元がわりと滑り、最後に頑張って押そうとするとズルズルと
ブーツが滑り・・・。
何度かチャレンジしていたら体力がなくなり、もはやろくに起こせなくなってしまった。
・・・この林道、結局抜けられないってことは、あんまり人も来なそうだよな。携帯の電波も怪しいし・・・。どうしようか?
考えても仕方ないので、とりあえず歩いて山を降りる。レッカーを呼ぶのでも助けを呼ぶのでも、時間が早い方がいい。電波もちゃんと届かないとまずいし。
半泣きでトボトボと林道を歩き、山を降りていく。来年にはローンが終わるし。やっぱりちょっとこの車体は俺には持て余す・・・毎度毎度、こんな事になって。仲間とくればいいのだろうが、オフローダーの友人はいないし・・・。売るかな。そんで小さいのに変えるか。310GSとか。高速の快適性は減るけども、あれなら起こせるだろう・・・。それか、ダート走るのを基本的に止めるか・・・。
そんなこんなを考えながら20分くらいか、行きがけに見た軽トラックが路肩に停まっているのを発見。このあたりは轍もあり、人が入ることがあるようだ。
釣り人だろうか。ならば、頭を下げて助けを請うしかないか。しかし、ドライバーはどこへ・・・?と思ったら、逆に山側から熊よけ鈴の音が。
迷ったが、意を決して「すみませーん・・・」と声をかける。
・・・果たして、山から降りてきたのは老人だった。山菜取りをしていたようだ。最初は警戒されている気がしたが、バイクを転ばせてしまって起こせなくなっていること、でも少しだけ手伝って貰えれば起こせそうなので、もし可能なら助けて欲しいということを率直に伝えたところ、助力を快諾してくれた。
ただ・・・よく見ればそのお爺さん、150cmくらいの小柄な方で。穏やかな表情ではあるが皺は深く、思った以上にお歳を召されておられる・・・(実際、60、70ではないすごいお歳だった)。
腰などやったら大変ですから、麓まで連れていって貰えるだけでも・・・と言ったが、「いや、やってみないとわからん」と。見事な軽トラさばきで荒れた林道を現場まで戻り、せーの!で起こしてみたら、結構あっさりと起きた!
たぶん、俺のパワーがあと20キロか30キロか分だけ足りないのだろうと思う。あとそれだけでいいのだったら・・・・体を鍛えればいいのかな。やっぱし。
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黄葉が目にしみる |
お爺さんには何度もお礼を告げて、そろそろと山を降る。車体のダメージは多くなかったが、ブレーキペダルが90度以上、ぐにゃりと曲がっていて、まともに踏めない。
作動はするのだが・・・フットペグのすぐ横にペダルが来てしまって、梃子が効かないので制動力が出ないのだ。
まあ、リヤブレーキがちょっと弱いくらいなら、無茶しなければ普通に走れはする。
あとはおとなしく帰って・・・・とか思ったのだが。
道路を走り出したら、なんだか変な反骨精神が湧いてきてしまい。
せっかく近くにあるのだからと・・・
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川俣桧枝岐林道 |
つい先週あたりに通行止めから復旧し開通したとSNSで見かけていた、関東でも稀有な完抜けロングダート、川俣桧枝岐林道。来てしまった。
南会津から桧枝岐は意外に近かった。
コロナの前に、以前の愛車Ninja 250SLで桧枝岐にキャンプに来たことがあるが、結構すぐに見覚えのある街道に出た。
ただ、見覚えがあるからと油断して、間違った道に突き進んでしまい、ぐるぐるとあの界隈の山を走り回ってしまった。綺麗な舗装路で景色もよいが、時間がまずい・・・。
林道入り口に予定より1時間半ほど遅れてたどり着いてから、日没までの時間を考えしばし悩む。が、まあ、最近開通したばかりなら道も悪くはなかろうし、逆に道が悪そうなら引き返してこようという気分でGO。
道は思っていたほどフラットでもなかったが、ガレてるというほどでもない。
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絡まる蔦だけ紅い |
両側から熊笹が迫るひらけた林間は、林道というより、徒歩で山登りしたりするとよくある道のような雰囲気。そこをバイクで走るというのは何だか新鮮に感じた。
樹に飲み込まれつつある看板。・・・今市の営林署の管轄になるのか。ここすでに栃木なのか?
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峠 |
峠に到達しても、誰もいなかった。んー、やっぱりちょっと時間、遅く来すぎたか?日没まで時間との勝負になってしまってきているが、だからと言って飛ばせるものでもないので、休憩時間を詰めるしかなく。とはいえ休まなすぎても危ないので、あわただしく煙草1本だけ。
ここから栃木方面に降るが、登りよりも砂利がちょっと大粒かつ深い気がして、なかなか気を使いながらの走行となった。
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今日一番の景色 |
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黄葉も良い |
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渓にかかる錦 |
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三叉路に出た |
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橋を渡り、いよいよ川俣湖沿いへ。終盤だ。 |
ここまでの写真では結構、iPhone補正など入っていて明るかったりするが、実際の感覚にリアルに近いのは、
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こんな感じで、薄暗くなりつつある |
ダートにヘッドライトの光跡がはっきり見えるようになってきて、いや増す不安。暗くなったらドロドロのぬかるみが見分けられん!と焦りを感じつつ・・・。
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鉄橋が見えた! |
道が舗装になり、いやしかしこれフェイクっつうかまたすぐダートになるパターンじゃなかろうか・・・と走っていたら、前方に赤い鉄橋が見えた!
時刻は日没間際。川俣桧枝岐林道に入ってから38km。時間はちょうど2時間ほどかかった。
ダートを抜けてみたものの、思った以上に周囲に何もなく、今度はガソリンが心配になってくる事態。今日は日曜日だし、田舎のスタンドは閉店が早かったりする・・・とりあえず最寄りのスタンドを探して給油し、ようやく安心。あとはチンタラと帰ればいいだけだ・・・。
スタンドを出てすぐ、温泉を発見。栗山温泉・四季の湯とな。温泉街というような場所ではなく、とりあえず街道沿いにぽつんと温泉があるという感じ。
本当は飯を食いたいところだったが、何はともあれ、結構疲れたなという気がしたので、寄ってみることにした。
温泉はなんというか、公衆浴場?ちっくで華美なところのない施設だったが、湯そのものは良い感じで、露天風呂でのんびりと体をほぐす。
本来は食堂も隣接しているようだが、コロナのためか、閉店の模様。腹も減ったのでとりあえず出発。
適当に東北道を目指すが・・・・思った以上に、というか全然、飯を食うところがない。道の駅もとっくに閉店しているし、牛丼屋でもラーメン屋でもいいのだが、そうしたのも見当たらない・・・。
あげくに雨も降ってくる始末。もともと大気は不安定だったが、やはり栃木は天気が崩れやすい。雨雲レーダーを見ると局地的に豪雨が降っていた。
俺のジャケットはゴアテックスではあるが、「インフィニウム」なので、豪雨には耐えられない。とはいえ、あまり夜中まで雨宿りしているわけにもいかないので年季物のレインパンツだけ途中で履いて進み、結局、矢板北スマートから東北道へ。
そのままPAの食堂でようやく晩飯にありつく。
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たいして捻りもなく餃子定食 |
まあ、どってことないのだが、腹が空いているのでともかく暖かい飯が美味かった。
しばし満たされた気分を味わったあと、覚悟を決めて出発。
なんとなくそうかなあ、と思っていた通り、宇都宮の手前あたりから物凄い豪雨。高速道路で煙るほどの豪雨なので、インフィニウムはまったく無力。ひたひたと雨が沁みてくるのを感じつつ、まあ、もう帰るだけだからと割り切ってひた走った。
・・・けど、昼間に転けた時にソールのグリップの無さに「捨ててやろうか!?」とブチ切れていたガエルネ Gミッドランド ゴアテックスは、ここではその機能性を遺憾無く発揮。高い防水性で足については完全にドライな状態を保ってくれた。
上半身がびっちょり濡れてても、頭と足がドライだと、意外に耐えられるなあ・・・と思いながら、雷鳴の中をさいたままでひた走ったのであった。
いつもの通り、多少のトラブルはあったけども・・・紅葉も綺麗だったし、新たなロングダートも制覇できたし、なんかアドベンチャーした感じで楽しかったのでまあ、結果オーライ。
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