東北はやめぐりツーリング ~あの日見た景色(が見えない)~


三陸海岸 鵜の断崖

9月の連休に東北周遊をしようという目論見を毎年立てて毎年挫けている気がする。少なくともGSを買った年にはそういう思いがあったが、そのGSの3年ローンも完済してだいぶ経つ。

自分は昔から、少し行動力に欠けていると思っている。そして、そんなことをしているうちに人生が終わってしまうと変な焦燥感に突発的に襲われることがある。今年は天気が悪かったから、連休の繋がりが悪かったから、仕事が忙しかったから。だから行かない。そう毎年思っているけど本当は、自分はちょっとした旅に出る度胸すらないのではないか。行かないのではない、行けないのではないか、もう一生。

別にバイクで世界一周をしようとか大それたことをしようというのではない(世界旅行には憧れるが、飛行機とか電車に乗ればいい派だ)。

ただ、独りでいる時でさえも、叫ぶことも出来ない。そんなふうに日常のルーチンを打破できなくなるということに、時々、急に恐怖とも焦りともつかない不安を感じて、ともかく何kはしなくては、という気持ちになることがある。

とは言え、思うに、程度の違いはあれど、バイク乗りなんて皆そんなものではないかという気もする。自動二輪免許を取る、ということからしてすでに、日常生活にはほぼ・・・というか100%必要ないのだ。移動手段として考えれば、大人なら軽自動車、若ければ原付で十二分に用を為す。というか、いずれもバイクより遥かに便利で実用性が高い。にも関わらず、バイクなんて乗ろうと思って教習所に通ってしまったたような人は、きっと何かに突き動かされてそんなことをしてしまっているに違いない。だからこの導入を少しセンチメンタルな回顧風に書いてみたところで、実はただ「ロングツーリングに行きたかった」と言えば十分な話に過ぎないということもまた事実であろう。


ということで、ちょっと天気もよかった10月の3連休、あわてて北東北まで足を踏み入れて来ました。


今回は急だったこともあり、数少ないバイク友達のP君も誘えない。ソロである。それはそれでキライじゃないが、コケるとバイクを起こせないリスクがあるので(悔しいが)、ダートは避けておく。どのみち、今回は距離を稼ぐのが目的だから林道を漁る時間的余裕もない。

ここのところGSのオフロードバイクとしての本懐を果たすべくダート林道ばかり行っていた気がする。

それはそれでとても楽しいのだが、高速長距離移動もまたGSのもうひとつの顔。それを存分に引き出すツーリングというのもやってみて悪いこともないだろう。


白河の関。なのか?

1日目の土曜日、朝6時過ぎにさいたまの家を出る。秋分を過ぎてしばらく経つから、これでも夜明け過ぎだ。

秋の3連休であり、しかも前の連休は天候不順だったこともあり、東北道は朝から混雑気味。渋滞から逃げるように、眠い体に鞭を打ってひたすらに北上。阿武隈PAに到着してやっと一息すると「是よりみちのく」の石碑が。

なんか、いいじゃないか。

大学生の頃、首都圏から出たことがないというか、当時住んでいた神奈川から埼玉にまですら足を踏み入れたことがなかったのに夏休みにTDR250というキワモノ系バイクを親ローンで買い北海道を目指した時の記憶がちょっと蘇る。


相馬から亘理へ。これと言って何もない・・・。

NEXCOの”ツーリングプラン”を活用して相馬まで来る。せっかく乗り降り自由なのにまったく降りずに対象区間終点までぶっちぎって来たので、まだ昼前だ。

国道沿いには特に何もない。

茫漠と広がる畑とも空き地ともつかない土地の向こうに阿武隈高地が見える。そこからとりあえず北上し仙台を目指すことにする。

海が近い県道を走ると、ところどころに古墳のような塚がある。津波が来た時に避難するための人工的な高台が点々と築かれているようだ。3・11の日のことは勿論よく覚えている。

まあそれはさておき、亘理に到着。さして聞きなれない地名だが、鮭を炊き込んだ飯にいくらを和えた「はらこ飯」の発祥地らしい。秋という時節柄もあり、海近くの食堂では「はらこ飯」の看板や幟があちこちに見える。

そんな中で立ち寄った食堂「海鮮大海」にて、

ヒラメ漬け丼

はらこ飯ではない。敢えてのヒラメ。

ヒラメも寒くなってきてからが旬だし、「本日のオススメ」と黒板に書いてあったし。鮮魚系の飯屋では、おすすめされたものに最もプライオリティを置くべきという自分のポリシーに従い、周囲の観光客がこぞってはらこ飯を食う中、敢えてのヒラメ。

結論から言うと、とても美味かった。
端麗な味わいで歯ごたえのあるヒラメの刺身にほどよいタレ味。薬味多めで食べる丼は、晩御飯に酒と味わうより、昼に掻き込むにこそ相応しい味わい。

だが、はらこ飯も気になったのは正直なところだ。とは言え、本当はなぜはらこ飯を頼まなかったかと言うと、偶々なのだがその前の週末に思い付きで自宅ではらこ飯を作って二日連続で食べていたからなのだ。宮城産の美味しいいくらと生秋鮭を使って、自分で言うのも何だかかなり上手く出来てしまった。なので、ちょっとまたはらこ飯と言われても新鮮味が無かったのだ・・・。


お代わり自由のカニ汁とあら汁

サービスの汁が上手くて2杯ずつ飲んでしまった。自分で鍋から注ぐのだが、カニは2杯目は汁のみにした。こういう場合、実は身はすっかり出汁が出てるから無理にほじって食うよりも、汁の方をゆったり味わうのがオトナの嗜みだ。たぶん。カニの方がプレミアム感はあるが、ブリの小さいの?っぽいあら汁の方が、実は具沢山で美味しかったかも知れない(つまり結局どちらも美味かった)。


宮城県に突入

亘理から仙台方面へと進み、県境を越えて宮城へ。

バイクで宮城まで来たのは、それこそ25年ぶりくらいだ。それでついこういうどうでもいいところで写真を撮ってしまう。デジカメはフィルムが無駄にならないのでこういう写真もついつい撮ってしまう。

それこそ25年前は、まだデジカメは黎明期で、普及機は高額なわりに大きく電池もすぐ切れるし、画質はすこぶる悪く、使い物にならなかったので、フィルムを何本か買ってカメラを持っていったのだった。ちゃんと獲れているのかは帰って現像に出さなければわからないし、1枚撮るごとに学生には安くもないフィルムが消費される。

にも関わらず、やはりこういう写真を、県境や峠を越えるたびに撮っていたなと・・・今回は図らずも、なんだかバイクに乗り始めた頃のツーリングの感覚をよく思い出す。まあ、たまにはそういうも良い。


仙台は昔にバイクで通った時に結構、国道が混雑していてしんどかったイメージがある。それに見どころの松島は2年ほど前に家族旅行でも来ている・・・ということで、高速に再び乗って、仙台を越えて北へ。本当はカキくらい食べて行きたかったけど。

午後に入って寄った春日PAで、程よい距離にある、あらかじめ目星を付けていたいくつかのキャンプ場のひとつに電話してみる。あまりリッパ過ぎない、さっと飛び込みで入れそうなところをピックアップしてあったので、空きがあるということで当日予約が完了。

仙台東部道路から三陸道に入り、ひたすらひたすら走る。
高速を走っているだけではあるが、見渡す景色はやはり、いつも走る埼玉・群馬・長野あたりとはまた違う雰囲気がある。平野の開け具合や、その向こうの山々の容貌や。
それくらいしか見られないのも惜しい気はするが、でもまあ、走って来てる感はある。

とは言え、北海道じゃないが、東北というのもかなり広い。ついつい地図の縮尺を見誤りがちだが、うーん、思った以上に、走っても走ってもなかなか目的地に着かない。

とは言え、やはりこういう場合、Fシリーズとは言えGS。高速道路を走り続けることでの疲労というのはかなり少ない。少なくとも、その昔の20代の頃に2スト250ccで走っていた頃にはもっとキツかったと思うが、体力がだいぶ落ちているであろうにも関わらず、疲労度が少ない。若さを生贄にして得た経済力で走るのだ(笑)。


気仙沼港横断橋、「かなえおおはし」


とりあえず気仙沼に着いた。この橋は新しく、モダンな佇まいがオシャレで評判がいいようだ。とはいえ、この構造は首都高や首都圏の山奥で結構よく見た気がするが・・・。とは言え、天気のせいか、さんざん走ってきたからか、静かに蒼色を湛える気仙沼湾奥に真っ白く長く水平に伸びる橋は、確かになかなか爽やかに見えた。


気仙沼の漁港

気仙沼の中心部?漁港に付くと、何かのフェスが行われており、ほやぼーやのバルーンを揺らしながらドッツドッツとEDMが爆音を奏でていた。

ちょっとだけ気になったが、キャンプの受付時間の門限も迫っているので、食料の買い出しだけ急いだ。

日暮れ間際に到着したのは唐桑半島の先端、御崎野営場。
フリーサイトだが全体に傾斜地で、連休だけあって結構混んでおり、平らな寝床を見つけるのに苦労したが、まあ何とかなった。


マイホーム(仮)

明かりは単三電池のLEDランタンひとつのみというミニマリスト的な俺のキャンプは場所さえ決まれば一瞬で設営完了。荷物が増えるのも煙臭くなるのも片づけも嫌いなので、焚火などしない。だけど最近は皆さんせっせと焚火をするので、煙の風下にならない位置を探すのはいつもちょっと面倒くさいのが正直なところだ。禁止されてもいないのだし、他人に焚火をするななどとは勿論言わないのだが、自分は焚火しないのに煙だけ浴びるというのはどうしたって御免被りたいわけで・・・。

さて、それではお楽しみタイムだ。ゆっくりと飲むか。

岩手黒牛のタリアータ

タリアータと呼べるものかは実は知らないが、スーパーで買ってきた岩手黒牛なる肉をレア目に焼いて薄切りにしたものだ。ビールも銀河高原ビール(いまやオリオンビールに買収されて近所のスーパーでも買えるけど)。実に美味い。やはりキャンプは肉だな。


気仙沼発 さんまと茎わかめの佃煮

一応、魚っ気もと思い、土産センターで売っていた総菜を、炊き立ての米とともに。これはこれで美味かった。佃煮は日本酒(特別本醸造酒 ホヤぼーやカップ)にも良く合う。すっきりとしていて辛くなく、しかし旨味も感じる、日常の食事に合うような酒・・・だった気がする。たぶん。有名で馴染みのあるものだと上善如水とかに近いグループじゃなかろうか。いろいろな記憶が曖昧だからわからんけども。

ハタチ前後の若い頃にはキャンプで酒を煽ってみても、正直そんなに美味いわけではなく、まあ気分でやっていたのだが、この年になってからは夜空の下で飲む酒は本当に美味くて、こればかりは年を取って良かったなあとしみじみ思ってしまう。

いやマジで美味い。

俺はゾロアスターではなくスターゲイザーなので(深い意味はない)、焚火の炎を見つめるかわりに星を眺める。


都会人なので、星空を眺めるのが好きだ


酒を飲んで煙草をくゆらせながら、ゆっくりと星を眺めるは好きだ。
いい加減にまったりとした後、片づけてテントに。季節外れの夏日だったからぜんぜん寒くはない。ヒマつぶしにとタブレットにアニメをDLして持ってきていたりはしたが、明日の計画を立てるために地図を眺めていたら眠くなってわりとすぐ眠ってしまった。



三陸沖からの日の出


翌朝はそれなりに早く眼が覚めて、いったん撤収。2泊3日の予定なのでここに連泊する手もあるが、どのくらい進めるかよくわからないのもあって、ひとまず引き払うことに。

ちょっとウロウロ散策して松林の隙間を通して海から昇る太陽を眺め、朝食にする。昨晩1合炊いた米を半分ほど塩にぎりにしてあるので、それとスープだけ飲み、あとはコーヒー(ゴールドブレンド)を入れて一服。煙草にも火を付け、すこしぼーっと朝の空気を堪能したら、ちゃっちゃと片づけだ。

荷物をまとめて出発したら三陸道に戻り、北上。三陸道は無料開放中で乗り降り自由なので、道の駅でも寄ってガソリンと飯でもあればと思ったが・・・朝早過ぎて何も開いてない・・・まあ、そうだわなあ。

そうこうしているうちにガソリンが怪しくなってきて、検索してみると近いスタンドも数10キロは先なので、あれ?これガス欠の危機じゃない?と、はかはかしながら最寄りの出口で集落に降りて最寄りの営業中のスタンドへ。

結局それで着いたところは岩泉。海沿いにひたすら北上する予定がちょっと寄り道になってしまった。岩泉と言えば、龍泉洞。目の前にあるので迷ったが・・・行けばそこそこ時間もかかるし、それこそ昔に入ったこともあるので、まあ今日はパスしておこうと。もったいないなとは思ったが・・・。

しかし道の駅には寄って、何か少し腹に入れるかと物色したところ、魚が。

いわな、やまめ、鮎

イワナとヤマメは岩手産。鮎は栃木産だったか。で鮎だけちょっと高い。まあ、俺は釣り人でもあったのでこれらが養殖であることは知っている。だが、養殖というのは環境依存の要素が多く、養殖魚ならどこでも同じということでもない。そういう意味でもやはりここは地元系で、イワナをチョイス。

美味い。炭火の串焼きでしっかり焼いた魚はホクホクして頭も骨も食える。これなら400円は高くない。ついつい、150円の餅も追加してしまった。


餅。シンプルに美味い。

さて、ガソリン満タン、小腹も満たして三陸道に戻り進んだ先は「鵜の巣断崖」。



駐車場があるだけだが、展望所までの道はきれいに整備はされている。


鵜の巣断崖

そして展望所からの眺めはまさに三陸海岸だ。沖縄など南の方の青とはまた違う、鮮やかだけど深い青。優劣はつけられないが俺は好きな色合いだ。が、魚が美味しそうという連想をしてしまう・・・。

意外なことに、こんな何もないところだが外国人の観光客がポツポツいる。絶対数は限られているが、比率としては日本人と半々じゃないか?とさえ思ってしまうほど。

観光地としての日本の人気が高まっているのは知っているが、京都・東京・大阪・フジヤマみたいなところじゃなく東北にまで足を向ける旅行者がいるのは、なんとなく良いことだと思った。

日本人の旅行者というのは逆にずっと減っているのではないかなと思う。派手さのない地方の観光地は俺がバイクの免許を取った頃から寂れていく一方だったのではという印象がある。・・・秩父の山奥なんて走っていると、昔は土産屋や茶屋だったんだろうなという廃屋はしばしば見かけるし。だが、ここ最近はなんだか、道や公園が整備されたり、新しい店やらカフェやら出来たりという様子もある。変に賑やかになるのはそれはそれで微妙な気持ちにもなるが、しかし、観光地は観光客がいなければ廃れてしまう。良いバランスで活性化されていけばいいと思う。

さて今回、無性に東北に来たかったのは、学生の頃に陸路メインで北海道ツーリングをした時にどこかで見た、なだらかな緑に覆われた崖が海に落ち込む景色がどこだったか定かじゃなくて、でももう一度見たいなと思って、それが三陸あたりじゃないかと思い立ったからというのも理由のひとつだった。

鵜の巣断崖からのリアス式海岸はキレイだったが、その記憶の景色とは違っていた。ちょっとそれより荒々しいというか。なので、これはこれとして堪能した後、たぶんもっと北の方だったんだろうとさらに北上する。

震災遺構。防潮堤だったもの。

本当は震災関連の資料などもう少し見たかったのだがスケジュールに余裕がなく。でも、通りすがりにあったメモリアル公園には寄ってみた。明戸海岸防潮堤という。


ここにサケの孵化場があったそうだ

なるほどなあ、すごいパワーだ、とは思う。けどまあ、自然の力ってそんなもんだよな、というのが偽らざる感想だ。改めて誤解のないように言えば、震災の被害を過小評価したりしているつもりはない。自分は地学関係の研究をしていたことがあるので、こうしたパワーについては変に理解がある方で、すごいパワーだとは思うが「初めて知りました・・・!」という感傷がないというだけだ。

もう10年以上が経っているが、東京のオフィスビルで体験した揺れは覚えているし、東北には縁故の人々もいる。それに自分は北海道より東北派を自称している。そうは言っても、どちらにも社会人になってからバイクで来ることはなかったから、特に震災後はいずれツーリングに行こうと思いつつ、忙しさにかまけて来年、また来年、今年は雨が降ったから、今年は忙しかったから・・・とやっているうちにこんなに時間が経ってしまったという事実に少し前に突然にして驚愕し、今回ちょっと考え無しなスケジュールで東北ツーリングを敢行しているというのも、実はあるのであった。復興支援だなどと声高に言う気はないが・・・。

さて、それはともかく、いまはあの日見た景色を求めて北へと走るのだ。


譜代村に突入

普代村には何度もふるさと納税をしてウニを貰っている義理がある・・・ここで夏にだけ出てくる牛乳瓶詰の生うに(牛乳瓶じゃなくてもいいが)は本当に美味い。これを何度も食っているせいで、都内でそこらの寿司屋で食うウニがまったく有難くなくなるくらいには美味い。クサくないので小さな子どもでもむしゃむしゃ食べる。特に美味しく食べるコツは、「土曜日にゆっくり食べよう」などと考えずに、届いたその日に食うことだ。納税枠がある人はぜひ試して欲しい。いや、試さないでいい。獲れる量に限度があるから、俺の分がなくなると困る。

さて、海際の国道で北上を続けて目指すのは北山崎だ。首都圏のJR東日本のポスターなんかでもよく出てくる名勝である。

三陸海岸、北山崎

幾重にも連なる崖がだんだんと淡い色合いになる様がロマンチックだなと思う。

ちらほら訪れるドライブか電車旅行のカップルと異なり、このセンチメンタルを分かち合う相手がいないのがソロツーリングの醍醐味だ。そう、デメリットではない。同行者がいないことでより深く、誰の共感も同調も顧みずにささやかな感動に一人で浸って悦にいることが好きなだけできる、それは楽しい皆の旅行で得られない、一人旅ならではのメリットなのだ。

そして、一人旅の中でもバイクのツーリングというのはとりわけそれを強く感じることが出来る気がする。おそらく、移動中もずっと独りで、しかもブーツにグローブと、一般旅行者や地元生活者とは異なる異質な出で立ちだからではないかなという気がする。自分はこの場所に馴染んでいないなという疎外感と、どこもホームでないならどこもアウェイでないという達観のないまぜになった感覚が好きだ、と言ったら詩的に過ぎるかも知れないが。


だが、問題は、この北山崎の景色も、美しくはあったが俺の記憶にあったものとは違ったということだ。うーん。

・・・そういえば、昔に北海道にバイクで行った時には、新潟から秋田を通って竜飛崎に至ったという記憶がある。そもそも三陸は通っていない?じゃああれはむしろ襟裳とかあっちの方だった?いや・・・遠野村で河童渕に寄ったこともある(北海道には2回行っている)から、もしかしてもっと北、青森に入ってからか?

ただ、いずれにせよ、この3連休で俺が到達できる距離としてはここらが限界だ。


北緯40度のモニュメント


そこからあと少しだけ北へと進み、北緯40度のモニュメントまで来た。今回はまあ、こんなところにしておこう。ここが目的地だった・・・わけではない。

北山崎から進む道中で、確かこういうのがあるとふるさと納税の付録に書いてあったなと思いだしただけだ。が、なんか区切りのいい場所だから、このツーリングは北緯40度を目指したのだったと思い込むことにした。よし、目的達成だ!

この前で地元民らしい婆様に自分の写真を撮ってもらった。「ちゃんと撮れてっがわがんねっけど!」という謙遜の言葉は、妻がよくする祖母の口真似みたいでちょっと和んでしまった。

さてさて。

本当はここらでゆっくり一泊したいところだが、明日は早めに帰らないと後の仕事にさすがに響くということを考えると・・・ということで、結局気仙沼まで戻ることにした。

普代村で昼飯を食べたいところだったが、数少ない食堂は休日とあり満席で、他に寄ってみた店は休日とあり閉店で、といった感じなので、道の駅でソフトだけ食って戻ることにした。ちょっと残念だが、まあ仕方ない。しかし、譜代の道の駅(兼、鉄道駅)には欧米からの旅行者がすごく多くてびっくりした。恰好からして海沿いのトレッキングコースでも歩くのだろうと思ったが、随分と人気なんだなと。というか、人生にゆとりがあるように見える・・・。羨ましいことだ。

ということで、昼過ぎから日暮れ前にと、三陸道を全力で戻り、結局昨日と同じ御崎野営場へ。


なんだかんだカレーは美味い


今日は素直に中村屋のチキンカレーなど。
レトルトカレーというのもベタなものだが、まあシンプルに美味い。

しかしカレーで終わりというのもさすがにつまらないので、こんなものがいる。

気仙沼のサンマ

地元系スーパーで入手してサンマ。オリーブオイルを塗して焼いたら結構上手く焼けて美味しかった。

そのあとは、これもスーパーで手に入れておいたウイスキーをお湯割りで飲みながら星を眺めてみたりして、そのうち眠くなってきたので寝た。

翌朝は早くに起きてちゃっちゃと片づけ、三陸道で一気に戻る。連休の下り渋滞に最後で巻き込まれたくないので、昼過ぎには帰宅するつもりで進む。

季節外れな温かさの連休ではあったが、朝のうちは高速道路で走り続けると結構、寒くて震えてしまった。

行きは東北道だったので、帰りは気分を変えて常磐道で。途中、帰宅困難地域あたりでは高速道路の横に線量計が設置されていて、進むほどに線量が上がっていく電光掲示板を見て、おお・・・と謎の感慨に耽りつつ、茨城に突入。

急ぐとは言え、昼飯くらい食っていくかと、中郷SAにて、


ジャンボたらカツ定食


SAの食堂の豊富なメニューの下の方にしれっとあったのだが、ちょっと珍しいと思うので食ってみたらこれは当たりだったと思う。サクサクの衣とふわふわのタラの身が美味い。ほかほか弁当系ののり弁を突き詰めたような気もする。家族旅行で行ったことのあるオーストラリアでもこんな感じの(アチラでは、日本でタラの代用にもされるホキのフライだった)フィッシュ&チップスを食ったなと思いだしたりした。

俺が魚フライが好きだからというのはあるだろうが、このSAで飯を食うことがまたあるかはわからないが、あったらまたこれ食べようかなと思うくらいには気に入った。

さて、そうこうして昼過ぎには自宅に到着。


3日間の走行距離が1,387km。1日だと500kmも走ってないことになるが、最終日は半日だし、俺としてはだいぶ走ったなと。平均速度が86km/hというのもまた何とも。

結局ダートには足を踏み入れず、ろくに観光もできていないのだが、楽しかったし満足した。このくらいは行けるんだな、という確認も出来た。

高校生でバイクに乗り始めたころは、ともかく遠くまで行けることが楽しくて、社会の地図帳に自分が通った道を書き込んで、「いつか全都道府県を走破するぞ」なんて意気込んでたりしたし、大学生になって北海道やら九州やら行った時にも(学生中には日本は1周以上はした)、とにかく遠くへという気持ちが強かった気がする。

大人になるにつれて、長期休暇がとりにくくなる一方で金銭的余裕が多少は出来てきたからか、ツーリングが距離を走るものよりも、温泉&グルメツアーの性質を増していくのは珍しいことではないだろう。実際、そうしたものを楽しめるようになったのは良いことだ。

ただ、今回はちょっと、敢えて大人げなく距離に拘ってみたかったので、この、ある意味で距離のわりに薄っぺらい、「ひたすら走って何してたんだろう?」というツーリングでいいのだ。

次からはまた、温泉グルメツアーなのか、林道探索なのか、高速ぶっちぎりツアーなのか・・・せっかくの万能アドベンチャーバイクなので、好きに楽しむことにしよう。

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